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評者◆前田和男
第76回 清廉なる細川金脈
No.2964 ・ 2010年05月01日




「人脈」についで、他の新党と異なる日本新党らしさは「金脈」である。政治で大事をなすにはカネは不可欠である。昨今民主党代表の鳩山由紀夫の「故人献金」が問題になっているが、一九九六年の民主党を立ち上げた際には、鳩山由紀夫と邦夫兄弟が七億円とも八億円ともいわれる資金を提供したといわれている。つまり鳩山家の金脈なくして今の民主党はないともいえるかもしれない。日本新党もまた同様で、「清廉」が売り物であったが、現実には細川の「金脈」なしには立ち上げることはできなかった。
 細川の「城代家老」である永田良三は、二〇〇二年九月一八日の「日本新党の同窓会」(細川は欠席)の席で、こう述べている。

 「新党をつくるにはお金が必要でした。細川さんは、私財を投げ打って、別荘の土地を担保に借金をして、それが、結党から約一年間の基金になりました」(パンフレット『永田良三さんと日本新党』二〇〇五年五月)

 実態はどれほどだったのか。金成によれば、最初の立ち上げに必要とされた資金は八億円とも一〇億円ともいわれているが、細川は、自宅や別荘を担保にいれて銀行から借り入れ、これをぽんと提供。さすがは殿様、物に対する執着のなさは凄いと感心したという。
 なお、鳩山兄弟の民主党への「財政支援」と違うのは、細川が日本新党を立ち上げたときはまだ「政党助成制度」ができていなかったことだ。鳩山兄弟の場合は「一時立て替え」であり、民主党に獲得議席数で按分される政党助成金が入れば返してもらえるが、細川の場合は公的助成がないため「出しっぱなし」だった。
 さらに、金成を感心させたのは、細川が「国民の血税」である官房機密費には鐚一文も手を出さなかったことだ。そうはいっても政権をとると、カネがかかる。それも半端な金額ではない。党が大躍進したのはいいが、衆議院と参議院を合わせると議員は四〇人。これだけの大所帯になると、職員も五〇名を超える。人件費だけで年間に二~三億円。事務所代をふくむ固定経費も一億円をくだらない。ついに職員のボーナスぶん五千万円がショート。支援者からカンパを求めたが集まらない。そこで、またまた細川は土地を担保に借金をした。
 さらに担保の土地の価格がその後の不動産不況で下落、それによって細川の負担はいっそう膨らみ、その完済に最近まで掛かったという。政界引退後、細川は陶芸家として隠遁生活を楽しんでいることで知られているが、細川の作品には高い値がつくという。ひょっとすると、それは膨大な借金返済に充てられたのかもしれない。だとしたら、細川の陶芸は趣味と実益をかねたもので、細川家伝統のお家芸を地でいったともいえよう。
(文中敬称略)







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