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評者◆小嵐九八郎
古代史の現場への立ち会い方がすごい――足立倫行著『激変! 日本古代史』(本体七〇〇円、朝日新書)
No.2991 ・ 2010年11月27日




 古墳とか、卑弥呼とか、邪馬台国とか聞くと、ついつい、当時の支配者の作った神話が基本なんだろうとか、考古学は証明の根拠を捏造したって身内では点検できない好い加減さがあるだろうとか、論争が自らの出身地のチャンピオンや縄張りで突っ張っているのだろうとか、胡散臭くなり、遠ざけてきた。
 でも、聖徳太子とは何者だったのか。天皇制に近代以後は懲りて、そもそもその原点のありよう、その時々の庶民の考えについて、当方は脇に置いてきてしまい、聖徳太子もその一人。大化改新など、もっと剥き出しに天皇制のテーマが出てきて、中大兄皇子の剣での〝武〝は、ありゃ、とはなるけれど、どうも、戦前・戦中と変わらない文科省的、国立大学のセンセエ的な「知りなさいよ」の雰囲気が、そもそも、醸し出されていて、どうも。
 でも、それでは、まずいのである。日本の国家は、どのように形成され、支配は如何になされ、人人はどういう暮しと感情と考えを持っていたのかは、自民党政権から民主党政権に代わった今の今でも、重大な課題である。研究し、討論し、勉強する中で、権力構造と、そのシンボルとだけでは済まされない芯が見えてくるはず。
 なんつうことを、しおらしく、人を喜ばせてなんぼのものの娯楽作家、かつ、抒情に酔って他人にまで押しつける自称歌人も考えていたら、『激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで』(足立倫行著、朝日新書、本体700円)に遭遇した。出たばっかりの新書である。
 すっごく、いいのである、著者の足立倫行さんの古代史の現場の一つ一つに立ち会う〝足〝での稼ぎ方、見つめ方が、まず。やっかみを言うと、銭と健脚力が費やされている。その上で、俺達が教科書で知っている〝常識〝をきちんと俎板に載せ、学者の考察を痒いところまで聞き、文献の史料を紹介して判断し、国家及び国的なもののでき方を、外交、勢力、宗教、血縁で展開しているのだ。科学的な、炭素測定法をも含めている。推理能力は、清張、京太郎、圭吾の各先生以上。読んで良かったぜい。
(作家・歌人)







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